〜dream in Okinawa〜 part9

 

 

「姉様!!」

道沿いから高らかな声色が降り落ちる。
浜辺に連なる階段を駆け下りて走ってくる少女を眼に留めると、小夜もすっと立ち上がって駆け寄ってくる妹を抱きとめた。

「おかえりディーヴァ!仕事平気だった?」
「全然平気よ!姉様とカイと皆でパーティーなんだもの!」

零れる笑顔に小夜も微笑んで返した。


「おかえり、ディーヴァ」
「カイ!ただいま!!」

小夜からそっと手を離して、今度はカイに抱きつきにいくディーヴァ。
バーベキューを焼いてる最中に抱きつかれてたじろぐカイに構わず、ディーヴァはぎゅっと首に手を回して抱きついたままだ。
どうやらあの一件以来、ディーヴァはカイを特別好意を寄せてしまったらしい。

「ティーヴァ、今焼いてるとこだから危ないって」

そう言われて、しぶしぶカイから手を離すが、しっかり隣に陣取っている。
そこらへんはさすが姉妹、通じるものがあるようだ。

 

カイの傍でにこにこと微笑んでいるディーヴァに、ルルゥはそっと近寄っていって同じくにっこりと笑った。

「あの、ディーヴァ・・・血をくれてありがとう」
「気にしないで!私ね、役に立てて嬉しいの!カイが言ってくれなきゃわからなかったもの・・・」

『ね!』と振り仰がれる笑顔の眩しさに、カイはくらっと眩暈を覚えた。
何だかんだ言って、ディーヴァに好意を寄せられて、カイもまんざらではなさそうだった。

「ほ、ほら、もう焼けたから喰えよ」

動揺交じりに焼けた食材を皿に盛って手渡せば、ディーヴァは『素直じゃないんだから〜』と歌うように小さく言って笑った。

「カイ、ラブラブだな!」
「あぁ、全く以って中てられるよ」
「カイラブラブ〜!!」
「あぁもう!うるさいぞお前ら!!」

カルマンから始まりモーゼス・ルルゥまでもがはやし立てるので、カイは顔を真っ赤にして怒った。
けれどそれも効果はなく、楽しげな笑い声だけを生み出して拍車をかける。

「あたいも彼氏ほしいなぁ〜」

が、直後に投下された爆弾発言に二人が硬直した。

「ダメだ!!お前にはまだ早すぎる!!」
「そうだルルゥ、早まっちゃダメだ!」

慌てたようにルルゥの肩を掴んですごむカルマンと、それに便乗して真剣な眼で訴えるモーゼス。
必死になってルルゥの意気込みを押さえる二人の姿は、自然と周りの笑いを誘った。