〜dream in Okinawa〜 part8

 

 

日も傾き沈む頃、鮮やかなグラデーションに頬が染まる。
組み立てたセットに、下準備された食材を置き並べれば、食欲をそそる音と香りが辺りに漂う。

「これがバーベキューというものか」
「あぁこら、モーゼス覗きこむな!眼に灰が入るぞ」
「なぁ、肉まだやけねぇのか?」
「だったらお前が焼け」

じっと上から凝視するモーゼスをカイは慌てて注意をして遠ざけ、食べたくて仕方ないのか、そわそわと訊ねてくるカルマンに言い返す。

「俺、生でも全然平気なんだけど?」
「腹壊しても知らねぇぞ」

すっかり仲良くなっているようだ。

 

その隣では香里が野菜やらを焼いていて、程よく焼き上げた食材をルルゥの口元まで持って行っては食べさせている。

「ルルゥちゃん、おいしい?」
「うん!!」

もぐもぐと口を動かしながら、幸せいっぱいの顔で答えた。
それに満足して次から次へと焼いては運ぶ香里に、小夜は小さく笑ってそっと隣に佇むハジに眼を向ける。
こちらも黙々と食材を焼き続けているので、ちょっぴり寂しい気がしていた。
それに気付いたのか、ハジはふっと視線を小夜へ向けると、その手に焼き上げた串を皿から零れんばかりに乗せて手渡し、『どうぞ』と微笑して見せる。
手にある食べ物に驚きつつ、目の前にある笑顔に笑い返して、食欲を満たすべく串を手に取り食べ始めた。

「そういえば、あと誰が来るの?」
「あとはディーヴァだけですよ」

赤い盾メンバーや他の皆は、後日改めてパーティーしたときに招待しようと決めていたので、即席パーティーに参加する人数は限られていた。
あの戦いの後、カイの説得に心動かされたディーヴァは、そのまま二児の母として仕事に精を出している。
今回も専用の託児所に双子を預けてやってくるらしい。
忙しい仕事を抜けて度々会いに来てくれる妹を思って自然と笑みが零れた。

「ね、ハジ、食べ終わったら皆で花火しようね」
「楽しそうですね」
「うん、きっと皆大はしゃぎだわ」

いたずらを思いついた子供のように無邪気に笑う小夜を見て、ハジもつられて微笑んだ。