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〜dream in Okinawa〜 part10
漆黒の闇と穏やかな月が訪れ、波が白く揺らめく頃、タイミングを見計らったように小夜がごそごそと花火を取り出した。
「じゃーん!!皆で花火しよっか!!」
「花火!!・・・って何?」
「ん?あぁ見たことないんだな、ルルゥたちは」
はしゃぎ半分、疑問を投げたルルゥにカイは笑ってその手に花火を手渡した。
「これにな、火つけたら・・・ほら!」
「わぁ!!モーゼス、カルマン見て!すっごく綺麗だよ!!」
先端にライターで火を燈せば、ぱっと火の粉が散りだして、鮮やかな色であたりを明るく染め上げる。
初めて見る花火に、三人ともじっと見入って虜になってるようだ。
皆それぞれに花火をつけて、華やかな色で浜辺を照らす。
「おいカルマン、こっち来てみろよ!ロケット花火やるからさ!」
「ロケット?飛ぶのか!!」
呼ばれて嬉々として駆け寄っていったカルマンと、招いたカイは、じっと浜辺に寝そべって着火線にライターが近づくのを見守る。
「5・・・4・・・」
着火後すぐに離れて、心踊っているためかカウントまでし出した。
『ゼロ!』と二人同時に言えば、それに合わせてひゅんと勢いよく花火が散る。
どん、と一際大きな音を置いて、あっけなく終わったロケット花火。
けれどカイとカルマンの二人には、どこかやり遂げた漢の顔だった。
後日二人に訊ねれば、あの着火の緊張感がたまらないらしい。
「小夜、これは?」
「線香花火だよ、他のとちょっと違うから最後にしようと思って」
皆が一斉に花火に火をつけだしたので、持って来てた花火はすぐに少なくなっていって、残っているのが普通の花火とルルゥの持ってる線香花火だけだった。
他の花火を全部やり終えた後、全員に一本ずつ線香花火を配り、それぞれに火をつけてゆく。
「わぁ、綺麗!!」
「形が次々と変わっていく・・・本当に綺麗だな・・・」
じっくりとぱちぱち飛び散る火花に、皆がしんと魅入られる。
ゆっくりと過ぎる穏やかな時間。
「・・・あぁ綺麗だ・・・って落ちた!!」
「「「早っ!!!!」」」
ものの数秒でカルマンの線香花火は、白い砂浜に抱きとめられて消え失せた。
あまりの早さに皆思わず突っ込み、笑いが収まらず、笑われてるカルマンは楽しみの消失にすねてしまい、そのすねる姿にさらなる笑いのツボを突かれる。
皆の笑いの振動のせいで、各々に手に持った線香花火が次から次へと消えていったことに気付いたのは、静かに微笑んでいたハジだけだった。
* * * *
2006/09/30 (Sat) 拍手掲載
拍手のSS part2
これで終わりかと思えば、まだ続くこの話。
続きは今の拍手にありますよ。
続くといってもちょっとだけなんですが。
皆楽しく、笑っていられたら、それだけでいい。
そんな妄想の産物です。
2006.11.29 (Wed)
新月鏡
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