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〜dream in Okinawa〜 part7
カルマンを厄介払いして下準備続行中の3人は、やっとこさ全ての食材を切り終えていた。
「これでいいのか?」
真剣に切り終えた食材を見せ、モーゼスは香里に訊ねた。
ルルゥに教えていたはずの香里も、モーゼスが少々不器用だからか、見ていられないと言って、いつの間にかモーゼスに付っきりで何かと世話を焼いていた。
「そうそう!さ〜て、次は金串にそれぞれ刺していって・・・」
「金串?これに刺すの?」
「そうよ、ルルゥちゃんはお肉とたまねぎを交互にね」
言われて勢いよく頷いて、さっそく嬉々として細切れにした肉と見事なアーチを保ったたまねぎを金串に通し始めた。
「・・・えい!・・・ん?・・・あ、あれ?・・・うぅ〜・・・モーゼスぅぅぅ・・・」
楽しげにやっていたはずのルルゥは、やっていくに連れてどんどん顔色を沈め、最後には泣きそうな顔で、隣で同じく指導を受けているモーゼスに助けを求めた。
「どうした?」
手元を見れば、ぐちゃぐちゃに崩壊したたまねぎたちが散乱している。
金串に通すとき、力を込めすぎて手の中でばらばらになってしまったらしい。
仕方がないので、泣きそうなルルゥの手からモーゼスがその金串を受け取り、新しいたまねぎを通しに掛かる。
・・・通す容量は力加減と、如何にまっすぐ中心を刺すかということだ
自分に言い聞かせながら、ぐっと力を込めて金串を構える。
たまねぎ相手にそこまで真剣にならなくてもよさそうなものだが、モーゼスは本気だった。
そしてそんな真剣勝負の勝敗はというと、モーゼスの手の中で散乱しているたまねぎをみれば一目でわかることだった。
「・・・何故だ・・・」
愕然とするモーゼスに、いまだ泣きそうなルルゥ。
どうも二人ともたまねぎひとつに必死すぎる。
「えっと・・・これはね」
「はっ煤I!そうか、これはカルマンじゃなきゃ無理なんだ!」
「へ?」
落ち込む二人に説明しようと話しかけた香里は、唐突に結論を出したモーゼスに唖然とした。
「僕らに出来ないはずだ!これは『突き刺す』のだろう?僕はどっちかっていうと『振り下ろす』方が得意だ」
「あ、そっか!あたいも『振り下ろす』方が得意だし・・・すごい!モーゼス頭良い!!」
勝手に結論付けて納得し合う二人に、香里は意味不明だといわんばかりに眼を白黒させている。
わかるはずもない、二人が言っている内容は各々が扱う武器の性質であって、戦闘に関わりのなかった香里が知るはずもなかったのだから。
その後、厄介払いされたカルマンが戻ってきて、見事にたまねぎを金串に通すことになるのだが、それを見ていたカイと香里は、拍手をしながら盛り上がる3人を他所に苦笑で満たされていたことは言うまでもない。
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