〜dream in Okinawa〜 part6

 

 

がちゃがちゃと音を立てて、カイが再び浜辺にも戻ってくれば、苛立ったようにうろうろと歩き回るカルマンに出くわした。

「・・・どうした?」
「・・・なぁ、枝って何処に落ちてると思う?」
「はぁ?」

いきなりな質問に、カイは声色を跳ね上げた。
こんな木もあまり植えられていない浜辺で、小枝を探そうとしているらしい。
話を聴いていれば、厄介払いのためにそう香里に言われたのだと判明し、カイが去ってから戻ってくるまで、延々浜辺を行き来しながら小枝探索を続けていたらしい。


なんだか可哀そうな奴だな、こいつ


カイは同情の眼で悩み続けるカルマンを見て、そんなことを思っていた。

「俺が小枝あるトコ連れてってやるよ」
「本当か!!お前良い奴だな!!」

単純だ。
顔を輝かせているカルマンを他所に、カイは同情やら苦笑やらで複雑なようだった。
どうやら自分が厄介払いされたことも、今同情されていることも気付いてないようで、どこまでも幸せな性格だ。

「お前さ、何やって追い出されたんだ?」
「ん?あ〜・・・何だ、その・・・これくらいの針にかぼちゃ?を刺したら、食べ物を粗末にするな〜とか言って何故か怒り出したんだ」

手をちょっと広げて見せて説明する。
針とはバーベキューに使う金串のことらしく、それをまだ切ってもいないかぼちゃに刺し込んだと。
香里の言うことは最もだが、それよりあの硬いかぼちゃにすんなりと金串を突き刺すカルマンの力に驚き、かぼちゃを疑問形で発音することにカイは笑わずにはいられなかった。


・・・そういえば、こいつは戦闘のプロだった・・・


治ったとはいえ、培われてきた戦闘能力は衰えていないらしく、力の制御がまだなっていないようだ。
ちょっとしたことでとんでもない力を使われては、壊れなくて良いものまで壊されそうで、カイは不安に駆られる。

「そういえば、その突き刺したかぼちゃどうした?」
「香里が必死で抜こうとしてたな、無理だったけど。ルルゥが抜いたの見てびっくりしてた」


そりゃそうだ!!自分でも抜けないものを、あっさりと小柄なルルゥが抜けば驚くだろう!!


突っ込みたい気持ちを抑えて、乾いた笑いを吐き出してその場をしのぐ。
枝探しに加えて、まだまだ教えることがありそうだと思いながら、運んできた荷物を半分手伝わせて、パラソルの下を目指した。