〜dream in Okinawa〜 part5

 

 

「お〜お〜・・・あいつら、はしゃいでるなぁ〜」

押し寄せる波の中、楽しげに駆け回る三人の姿にカイはパーティーの準備道具を片手に苦笑した。

「仕方ないよ、歳はカイたちとあまり変わらないのに、何も教えてもらってなかったんだから」

同じく準備道具を抱えてカイを追ってきた小夜は、隣に立っているハジに『ね?』と同意を求めて見上げた。
ふんわりと包むようにハジが肯定し笑えば、小夜はそれに華やかな微笑を返す。

もはや二人の世界だ。

 

「そうだな・・・」

辺りに漂う雰囲気に少々引き気味になるカイ。
そんな空気を読み取った香里はすかさずカイを押しやり、さっさとパラソルの許へと引きずって行った。

きっと真央も同じことするんだろうな・・・と頭の中で凛とした少女を思い描く。


「そうだ、カイ先輩!ルルゥちゃんが何も教えてもらってないって、どういうことですか?」

パラソルまであと少しという所で香里はおもむろにカイに訊ねた。
後々から乱入したものの、しっかりと話の内容を聴いていたらしい。

しかしそれはカイにしてみれば、訊かれても答えられない質問である。

 

「・・・あぁ〜・・・なんだ、その・・・あ、そうだ!!あいつら孤児だったんだよ!!だから何も知らねぇんだ!!」


俺、今上手いこと言った!!!


「そうだったんですか?!」
「おう、そうなんだ!!」

カイは自画自賛し、香里は疑うことなくすんなりと受け入れてしまった。

 

「っ・・・だったら、ルルゥちゃんにたくさん教えてあげなくちゃ!!」

そう言って香里は海で遊ぶルルゥに駆け寄り、お料理するから手伝って!!と引き抜きに掛かった。
ルルゥを掻っ攫われそうになってる二人は、突然のことに驚きつつも、『料理』について興味を示したようで、ルルゥを引っ張って歩く香里の後について歩く。


「・・・カルガモみてぇ・・・」

カイは思わずそう呟く。
香里を先頭にずらずらと歩く姿はまさにカルガモの親子であった。

 

 

しばらくその四人を見守っていれば、下準備を始めた香里とルルゥにものの数分で怒られ、たじろいでいるカルマンの姿。
なにやら余計なことをしたようだ。

 

・・・女って怖いよな・・・頑張れ!

 

遠く離れた場所から同情しつつ、パラソルの下に準備品を置いてカイは再び道具を取りに店に向かった。

 

 

 

* * * *

2006/08/28 (Mon) 拍手掲載

拍手に載せてたSS
続きは今の拍手にありますよ〜★
とりあえず、願望と妄想の産物です
皆が笑って過ごす
何よりも願う暖かい日々ですねVv


新月鏡

2006.09.30 (Sat)