〜dream in Okinawa〜 part3

 

 

太陽の光が眩しく差し込む廊下に終了のチャイムが鳴り響く頃、それぞれの教室から生徒たち出てくる中、小夜は親友の香里と楽しげに雑談しながら荷物をまとめていた。

「ねぇねぇ、小夜!今夜海行かない?」
「いいよ、行こう!!途中でお菓子買って、あと花火も!!」

きゃぁきゃぁと騒ぎたてながら弾む話に自然と笑みがこぼれる。

 

「小夜ぁー帰るぞ!」

教室のドアの向こう、一際透る声でカイが呼んでおり、気付いた小夜は慌てたようにばさばさと荷物をまとめながら叫んだ。

「あー待って待って!!香里、行こ!」
「うん!」

あわただしい足音を響かせて暖かな廊下へ駆け込み、待ちくたびれた、と茶化してくるカイに小さくふてくされてみせる。


あの戦いを終えて、ようやく戻ってきた平和な日々。
その事実が小夜はたまらなく嬉しかった。

 

「あ、サヤ!!やっとみつけた!!」

そんな穏やかな雰囲気の中、特徴的な甲高い声が響いたかと思うと、不意に現れた小さな台風。
姿を目に留める前に懐へ飛び込んできて、満面の笑みを浮かべる彼女に驚き、面を上げれば同じように驚いているカイが映る。

「ルルゥ!!お前、どうしてここに?!」
「ハジが教えてくれたんだ。あたい一生懸命覚えて来たんだから!!」

驚きつつも嬉しそうな表情で訊ねるカイに、ルルゥも嬉しそうに笑って言った。

 

「そういえば、お前一人か?あいつらは来てないのか?」
「そういえば見ないね」
「あぁ・・・カルマンがいきなり倒れてさ、今モーゼスが看てくれてる」

小夜が同意しながら小首を傾げて見せると、ルルゥはそう言って答えてくれた。
カイはそれを聴いて心配そうに大丈夫なのか?と訊いていたが、彼女は明るく『心配ないよ』とその心配を一蹴した。
どうやらただの夏バテらしい。

「あたいたち、キルベドに長くいたし夜しか動けなかったから、暑さに慣れてないんだよね」

ま、カルマンは根性なさすぎだけど、と笑って付け加える。

 

「ねぇ小夜、この子誰?」

今までずっと傍観にまわっていた香里が、すまなそうに小さな声で訊ねてきたので、小夜ははっとして、改めて二人を引き合わせて簡単な紹介をする。
そうしてひと段落話がまとまったあと、四人並んで昇降口まで歩きながらお互いの近況などを話し合った。

「そうだ、今夜皆でパーティーしない?」
「パーティー?」
「そう、皆一緒に食事したり遊んだりするのよ」

靴に履き替えながら思いついたように香里は三人に向かって提案し、興味を示したルルゥにあらまし説明した。
するとルルゥはすぐさま笑顔が輝き、飛び跳ねるようにして『やりたい!!』とはしゃぎまわるので、カイも自然と微笑みながら賛成してやる。

「そうだな、皆久しぶりに集まってパーティーってのも悪くない」
「じゃぁハジに言っとかなきゃ」
「何を?」
「お店じゃなくて、パーティーの準備に変更だって」
「あ〜なるほど!」

パーティーの話で盛り上がりながら先行く香里とルルゥの後姿追いながら、小夜とカイは小さく笑い合った。