冬のはじめのりんごほっぺ 〜Romantica〜
「ただいまー」 「おかえり」 コーヒーを淹れながら、帰宅した美咲を出迎える。 先ほどまで打ち合わせがあった俺は美咲の買い物に付き合うことが出来なかった。 けど、こうやって誰かを出迎えることがこんなに嬉しいものだということを以前は知らなかった。 ただいま、という誰かに、おかえり、がいえる幸せ。 いや、誰かではない。美咲に言える“おかえり”だからこんなにも幸せなのだろう。 口には出さないけれど、美咲は待つことを極端に恐れている節がある。 原因は聞かなくても容易に想像は出来る。あの時、俺は孝浩を見ていたから・・・ だから俺はお前におかえり、を言い続けられる存在でいたい。 お前の悲しみを消すことはできないかも知れないけれど、 喜びと幸せの思い出で埋め尽くして悲しみの比率を小さくしてやることは出来ると思うから。 寒い外から帰ってきて真っ赤になっている美咲の頬を両手で包む。 「ちょ、ウサギさんっ!食材仕舞ってんだから、邪魔すんなよ!」 軽口をたたくお前の頬がますます赤くなった。 「りんごほっぺ」 俺の手よりも冷たくなったお前の頬を暖めるのは俺。 誰がなんと言おうと俺はお前を手放す気はないよ。 その言葉を飲み込んで、俺は目の前の真っ赤なりんごを一口かじった。
Egoist ver.→ * * * * 2008/12/1 (Mon) 俺の野分こと、『純情ペシミスト』の泥河うな様より、素敵SS3本いただきました!!!! ありがとうございま――――すっ!!!! おっかしいな、一方的にファンレター送りつけただけなんですけどね?!! えびで鯛を釣り上げましたよ、私よくやった!!!! そんなで、いただいたSS一本目、ロマ組 ナンデスカね、このちょっと切なくなるような甘酸っぱさは…! まさに、リンゴの甘酸っぱさ!!!! 美咲のこと、本気で心から好きなんだなーって感じがめいっぱいVvv ウサギさんを好きになるSSですね、これ! 何気ない会話とか、あたりまえの言葉とか。 そんなものに、とても優しさを感じますVvv 幸せ…Vvv 新月鏡
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