もしも空が青くなければ〜phantom〜

 

 

 

 

 

何処にも行かないでください

逃げようなんて意識の片隅にも置かないでください

少しでもそんな素振りを見せるなら

君を奪う全てを滅ぼして

僕と君だけにしてしまおう

 

そして君に永久の想を

 

 

 

 

 

守護者という枷に囚われて、どれほど時が経っただろう。
考えるだけで暗い感情が面を上げる。

元より何かに縛られることを嫌う僕なのに。
こうして捕らえて放さないのが、憎むべきマフィアだというのだから笑える。
さらに加えて己の身体はこれまた拘束されたままだった。

 

冷たく暗い水の中
凍る鎖に我が身を沈めて
閉ざされた両眼はいまだ封じられたままで


自由にならない全てが憎い

 

『骸様・・・』

――――気にしなくていいですよ、クローム

僕の中に巣食う闇に、彼女が気遣わしげに反応するのは仕方ない。
彼女の中には本来あるはずのない常闇の感情なのだから。

 

親に見離され、身体の一部を失って。
しかし、そんな彼女の中に見た暗い想いは『諦め』でしかなかった。

 

生きることの諦め
死を前にした安堵感
終焉を待つ者の穏やかな表情そのままで

終わりなどあるはずないのに、何を信じてそのときを待つのでしょうね?
全く以って愚かしい。

 

――――いっそ壊してしまいましょうか

苛立つ衝動そのままに、意識を狂わせて
あの惨劇を思い起こさせる圧倒的な紅で世界を染め上げれば、物事全てに甘い君はどう想うでしょうね?

 

僕を憎みますか?

僕を許しますか?

それとも僕を哀れみますか?

 

もし最後の選択をするのなら、僕は君を躊躇い無く殺してあげましょう。

 

 

 

 

 

-続-

 

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