ジュードの日祝い-君のくれたもの-

 

 

 

◆泣いてしまいそうな幸福を

ぎゅっと手を握ると、ぽかぽかとぬくもりを伝えてくる。
視線を上げて盗み見ていると、柔らかな気配が振り返り、手から腕へと浸透して身体を包み込んでくれる。
緩やかに弧を描く口元につられて、自然と頬が弛んだ。
ひんやりとした風が手のひらを撫でることはない。
拭うように、頬を滑る指先があるのだから。

 


◆「今日」の為の勇気を

行き交う想像は果てしない。
何度も何度も挫折した。
何度も何度も涙を味わった。
泣いて、叫んで、堪えて、耐えて。
待ち構えている痛みに恐怖が駆け回り、手すりを掴む指先に力が篭る。
だけど。
ぐっと見据える先に佇む姿。
負けられない。
情けなさは見せられない。
唇を噛む。
見守る瞳めがけて、さぁ踏み込め。

 


◆この世界を彩る美しい色を

自覚を重ねた者を促す時、必要なものは2つある。
変化を促す力と、どんな結果も受け入れてくれる逃げ場所だ。
自分の場合、それは自然と差し出されていた。
おそらく言った本人は意識などしていない。
しかし、あの言葉があったからこそ、この目に鮮やかな光景が広がっているのだと言えば、笑ってくださるでしょうか。

 


◆笑う意味も泣く意味も、

どこかズレていた。
どこか他人事だった。
いつだってそれなりの感情は働いていたが、決定的な齟齬は確かにあった。
そのズレを、重い拳が叩き直す。
言葉が胸を穿つ。
突き放されて、迎えられて。
安堵のあまり馬鹿みたいに泣いた。
まるで産まれ直したように。
そうして。
今日も、正しく働く感情を共に育む。

 


◆おやすみの「」

あくびを一つ。
動く手足がシーツに埋もれる。
時計の音。
寝息。
寝返り。
寝ている間ですら、『生』を主張し続ける。
不思議と寝顔を見飽きない。
目の下に隈を見つけて小さく笑えば、むにゃむにゃと寝言。
胸のうちをぽっと灯すような愛しさに誘われて、目蓋に口づけ。
再来の約束は、定型の挨拶に溶けて消えた。

 

 

 

 

 

 

* * * *

2012/10/14 (Sun)

お題元:潦 (ttp://niwata.jougennotuki.com/)

突発ジュードの日祝いのための5題。
メンバーからジュードへ。 ジュードからメンバーへの思いに胸きゅんしたい方は、『floating world』へ。
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ジュードの日、おめでとう!


*新月鏡*