一方的最大理由
「君は、何故僕を仲間扱いするんですか?」 ある日、唐突に、骸はそう切り出してきた その言葉には、『馴れ合うつもりはない』という意味合いより、『酷く傷つけたのに』と言った、罪悪感にも似た響きを含んでいるように思えた 「ん?いきなりどうしたの?」 「僕じゃなくてもよかったでしょう」 「って言っても、決めたのは俺じゃないしなぁ・・・」 そう、リングを配ったのは、自分ではなくて父親が勝手に配り、勝手に決めていただけ 気付けば流れのままに、自然と受け入れてしまっていたけれど、骸はそう想ってなかったらしい 全く、いつだって、自分のペースを崩さない人だ 「何が、訊きたい?」 「・・・わかって・・・いるのでしょう」 「受け入れてる理由?」
骸は、俺が同情して傍においてると思ってる 飼いならされることに屈辱を感じて それでも、過去に起こした戦いの傷を思って、俺に引け目を感じてる 忘れるには短い時間しか経っていない 黒曜の廃屋同然の敷地で 血で血を洗うように、たくさん傷つけあって戦った そして、引き裂かれるように骸は牢獄へ戻され、今も水牢の中で一人、孤独の深淵を彷徨ってる 脳裏に映し出されたヴィジョンに、泣きたくなるくらいの切なさを覚えてた まるで、我がことのように リボーンが、あの戦いを『忘れるな』と言わなければ、そのまま引きずられていただろう それくらい お前が大事なんだと あの時 気付いた
「あのときのことは、許せない・・・うぅん、許さない」 だから、コレが、正しい答だと思う 「でも、俺はお前を信じてる」 ――――他の誰でもない、共に戦い合ったお前だから 「・・・だから、受け入れる、と?」 にっこり微笑んで小首を傾げて見せれば、困ったように骸が眉根を寄せる 一方的な信頼だけど、それを賭ける価値が、骸にはあるでしょう? 応えてくれるかどうかも、わからないけど それすら『応えてくれる』と信じてる ね、それ以上の理由なんて、俺にはない 「それ以上の理由って、必要?」 「・・・君は、卑怯だ・・・僕には否定するだけの、理由がない」 そう言って、項垂れるようにソファーに身を沈める骸を他所に、俺は心底うれしそうな顔をしていたに違いない
* * * * 2007/08/28 (Tue) from diary 何だかよくわからん品が出来ました。 えと・・・とりあえず、『許さない、だけど、信じる!』ってフレーズにときめいたばっかりに出来たSSSですので、さらっと流していただけるとありがたいです・・・orz うわぁっ自己満足っ!!!! 新月鏡
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