LOVE ACTION

 

 

 

初めてかもしれない。
一人の人間に対してこんな感情を抱いたのは。
気付けば抜 け出すことのできない恋の迷宮に俺は迷い込んでいた。

 

 

 

「ここは今度のテストの範囲だから覚えておけよ」

5限目の授業は国語。
昼食後プラス温かい日の光が差し込む時間帯とあって気持ち良さそうに居眠りをする生徒が多々いる。
最早叱る気も起こらない。


その中で常に視線を俺に向ける奴がいた。

 

草間野分。

 

窓側の一番後ろに座るその男から終始熱いまなざしを向けられているのは恐らく気のせいではない。
自惚れではないが明らかに授業を聞くというより俺自身を観察している様に思える。

人よりもプライドの高い俺は品定めをされる立場にいるのが嫌だった。
それが生徒なら尚更だ。


試してみるか。


俺が決断すると同時にチャイムの音が鳴った。

「じゃあ今日の授業はここまで」

終わりを告げると同時に意気揚々と教材を片付ける生徒達に若干腹を立てつつも俺は実行に移した。

 

 

 

「草間」

俺をずっとガン見していた男の名を呼ぶと不意打ちをかけられた様子だった。
少し間が開いた後、「何ですか?」とこちらへ近付いてくる。

「少し話があるから後で準備室へ来い」
「解りました」

端的に用件を述べると教室を後にした。
その後ろで野分が他の生徒に「何かマズいことでもしたのか?」と聞かれる声がする。
あぁ確かにマズいといったらそうかもしれない。
草間野分、お前は責任を取らなくちゃならない。


この気持ちを沈める責任を――――

 

 

 

 

 

「失礼します」

掃除当番を終えた野分が準備室へやってきた時には4時を過ぎていた。

「そこ座れ」

ひとまず彼を椅子に座らせ、俺は移動せず教員用机に座ったまま奴の顔を見た。

 

面と向かってこいつと話したのは始めてかもしれない。
やはり教師たる者生徒全員の顔を平等に見ながら授業を進めなければならない。
のはあくまで建て前上の話。
本当はこいつの目を見ることができなかった。
合わせてしまったらその瞳から抜け出せなくなりそうだから。

 

「あの、なんで俺ここに呼ばれたんですか?」

野分は頬を掻きながら理由が解らず困った様子だ。
どこから天然でどこまで演技なのか解らない。

 

「単刀直入に聞くが、お前俺のことずっと見ているだろ」

我ながら直球過ぎる質問だがこの男に変化球は投げても無駄だ。
何となくそんな気がする。

 

「すっすみません気に触りましたか?」
「別にそう言う意味で聞いた訳じゃない。ただ、俺の授業が解り辛いかと思っただけだ」
「あっ先生の授業は非常に解りやすいです」

笑顔で言われると柄にもなく照れてしまう。
って今は照れてる場合じゃないだろ!

 

「じゃあ何で見てるんだ」
「あー言わないとダメ、ですか?」

なかなか渋る野分に腹が立ってくる。
そうかこいつあくまで自分から言わないつもりか。
それなら俺だって絶対言ってやるものか。

「言え。これは教師としての命令だ」

こんな時に教師という権力を振りかざすなんて俺も落ちたな。

 

「解りました」

野分は小さく溜め息をつくと俺の所まで近付いてきた。


そして―――――

 

予想通り唇にキスをしてきた。
確信犯過ぎる自分に笑いが込み上げてくる。

 

 

「驚かれないんですね」

俺の反応に少々不満そうな野分が可愛くてアハハッと口に出して笑ってしまった。
「俺は教師だ。生徒が何を考えているかぐらい解る」

あくまで余裕な態度を見せつける。
生徒に恋心を抱いているなんて知られるのはプライドが許さない。

 

「流石は上條先生です」
「っ//」

絶対感情は表に出さない。
野分の気持ちを知るために仕掛けようと決めた時思ったのに…………


何故だろうこいつの笑顔が純粋過ぎて自分の行為に恥ずかしくなる。
勝手に感情が表に出る。

 

「その様子だと先生も俺のこと“好き”ってことで良いですか?」

再び顔を覗き込む野分に顔を背けた。

「勝手にそう思ってろ」


あくまで自分がこいつに惚れていることは言わない。

教師である自分が生徒に本気になるなど―――――

 

 

「素直じゃないですね」
「んっ」

二度目のキスは先程の触れるだけのものとは違った。
次第に深くなるキスに酸欠になりそで必死に目の前の男の胸を叩いた。

「はぁっ」
「すみませんやり過ぎました」

ムカつく。
上から見下されている気分がして。

 

 

 

 

「あまり教師を舐めるなよ」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

そう言って今度は俺から野分にキスをした。
若干こいつの方が身長が高いのがまた更にムカつくが顎を掴んで角度を何度も変えながら大人のキスと言うものを教えてやるといった勢いで唇を貪った。

 

「ふっ」

唇を離すと二人の間は銀色の糸で繋がれている。

 

「これが大人のキスだ。覚えておけ」
「あははっ心得ときます」

全く思ってないだろお前。


でも不思議とこいつの笑顔に顔が緩む。
人一倍プライドが高い俺がこいつになら振り回されても良い。
なんて少しばかり思う。

 

 

俺を落としたんだから責任とれよ、野分――――

 

 

ニヤッと笑う俺に向こうも微笑み返してきた。

 

 

 

 

 

* * * *

2008/10/20 (Mon)

やったぜ★ごり押しコラボ!!!!
というわけで、友人の雅を巻き込んでのコラボです!
ギアスサイトの管理人でロマ組好き(ここ重要)の彼女を、半分力ずくで口説き落としました!
わはーいVvvv
我が家ではありえない、気位の高い女王降臨wwwwww
こんなヒロさん超好きですVvvv
あご掴んで強制キスとか、わはー…描くの楽しかったーwwwww
いい場面を視覚的に台無しにした気がしなくもないが、俺が楽しければいいから☆←

あ、そうそう、雅曰く、『もうヒロさんじゃないこれいつも書いてる女王ルルだ!(笑)』とのこと。
俺は好きだぜwwwww


で、長編も期待してる、と落としておく。
書けばいいよ!俺のためにっ!!!!←

えへへ、ありがと、雅Vvvv


新月鏡