〜dream in Okinawa〜 part14

 

 

後日。

 

からんと涼しげなドアベルの音が店の中に広がった。

「こんちわ〜、藤吉亭で〜す!」
「いらっしゃいませ〜、っておっちゃん、何でうちに?」

見慣れた客に驚いて、店番をしていたカイはその場にそぐわない人物に首を傾げた。

「おう、久しぶりだな、カイ!お前んとこに出前注文入ってなぁ・・・ほら、狸蕎麦だ!」

豪快な笑みを浮かべて差し出されたのは、3杯の狸蕎麦。
ほかほかと湯気が出ているのがなんとも食欲をそそる。

「でも、俺注文なんてしてねぇけど?」
「あぁ、別の人からお前んところに持っていってくれって言われたんだ」
「・・・はっ煤I!まさか・・・」
「んじゃこれ代金な、食器回収のときに一緒に貰うから〜」

思い当たる人物にはっとなっていると、藤吉亭の親父は風のような早さで去っていった。
もちろん、狸蕎麦3杯の上にきっちりと料金表を置いて。

「あいつら・・・」

たぶんこれが引っ越し蕎麦なのであろうと思うと、嬉しいような悲しいような、奇妙な感情で溢れる。

 

しかし・・・

「蕎麦送りつけるくらいなら金払っとけよなぁぁぁ――――!!」

その上の料金表を見ると、カイはそう叫ばずにはいられなかった。

 

 

 

* * * *

2006/11/29 (Wed)

シフ流引越し蕎麦は出前で☆!!
頼めばそれで終わりと思ってるあたり、まだまだ常識知らずですね
さて、これで一応ひと段落です


新月鏡