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〜dream in Okinawa〜 part13
「ということで、僕らはここに住むことになったんだ」
・・・ジョエル・・・なんて憐れな・・・
終始笑顔で語られた話に、カイはジョエルへの同情を禁じえなかった。
「今度引越し蕎麦持ってくな」
「あ、あぁ」
別にお隣さんじゃねぇからいらねぇけど・・・;
ははは、と乾いた笑いを浮かべているカイに、隣から現れたカルマンは楽しそうにそういった。
しかし、そういや蕎麦って何だ?などと首を傾げているカルマンには、言っておいて知らないのかよ、と思わず突っ込みを入れたくなる。
「赤い盾って親切で、『また何かあったら遠慮せずに言うといい』って言ってくれたんだ」
いやいや、前の話を聴く限り、言わせた方だろう!!
「ルルゥに」
あぁ、ルルゥにか・・・
早とちりでうっかり突っ込みを入れてしまったが、ルルゥにならジョエルは言うかもなぁ、と思う。
しかし、相も変わらず笑顔でいるモーゼスに、何故かカイは薄っすらとした寒気を感じる。
「さ、さてと、皆そろそろお開きにして帰ろうぜ」
振り払うように思考を切り替えて呼びかけ、『うん』・『はい』・『えぇ〜』、とそれぞれに返ってくる返事に苦笑しながら、持ってきた機材に手をかける。
「ねぇカイ〜、今日泊まっても良い?」
機材に手をかけた状態のカイの背中にしなだれかかるようにディーヴァが擦り寄ってくる。
「こらディーヴァ、お前子供どうすんだよ」
「ん〜、ネイサンが看てくれてるから大丈夫Vv」
ぴったりと寄り添ったまま、上機嫌で隣を歩くディーヴァに苦笑する。
どうやらこの流れだと押し切られてしまいそうだった。
「それじゃぁ私は先帰るね、小夜!」
遠くで香里が小夜と話していたが、どうやら彼女が一番初めに去るらしい。
名残惜しそうにルルゥと小夜の手を握って、またね!と一際明るく笑ったのが印象的だった。
「おい、俺らも帰るぞ」
「ん、あぁ・・・ルルゥ!おいで、帰るよ」
「う、うん!」
モーゼスの呼びかけに、はっとなったルルゥは慌てて駆け寄ってくる。
ちょっぴり寂しそうな表情は変わらなかったが、小夜が『また明日ね』と声をかけると瞬く間に花の咲いたような笑顔になった。
「じゃぁまた明日」
それぞれに挨拶を済ませて踵を返す。
その去ってゆく後姿を見て、やはり寂しく思うのは楽しかった余韻のせいだろう。
「また、明日」
小さく言葉を落として、その言葉にほんのりと暖かくなった気持ちを胸に、カイは夜空を見上げた。
* * * *
2006/11/29 (Wed)
終わるとしんみりと寂しい気もするけど
『またね』って言ってくれると嬉しいよね
新月鏡
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