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〜dream in Okinawa〜 part12
それは2ヶ月ほど前のことだった。
「沖縄に住みたい?」
「あぁ、ルルゥがとても楽しみにしてるんだ」
詰め寄るモーゼスに苦渋の色を示しているのは、赤い盾の長官・ジョエルであった。
ジュリアによるソーンの除去が終了するまでの間、彼ら3人は赤い盾、もといジョエルの家にお世話になっていた。
ジョエルが『彼らを生み出したのは、やはり我々の罪だ』と崇高な意思を示したおかげだ。
「確かに、ソーンさえなくなれば君たちの自由だから止めはしないけど」
「なら話は早い、沖縄に住むための家と家具一式、最低必要だと思われるもの全てそろえてほしい」
「・・・え?」
「あぁそうだ、家の間取りもそれ相応に考えてほしい、それから・・・」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
突然の申し出にうっかり出遅れたジョエルは、そのまま計画を立て続けるモーゼスに手を挙げて制止をかける。
「もしかして、君たちが沖縄に住むための準備をしろということかい?」
恐る恐る、訊きたくないが訊くしかないといった様子で、そっとジョエルが訊ねる。
その問いを極上の笑顔で受け止めるモーゼス。
言うまでもなく、否定してほしかった彼の思惑をすっぱり切り捨てるように勢いよく頷かれ、ジョエルは今すぐ消えてしまいたいと思った。
「世界のゴルトシュミット家の長にかかれば、家の一件や二件、軽く建つだろう?」
いまだ消えない最上級の笑顔。
それがジョエルからすれば、獲物を前にした獰猛な肉食獣に見えただろう。
「・・・いや、でも土地とか」
「そこは真央がいるじゃないか」
「でも、時間かかるし、迷惑だろうし・・・」
逃げ続けるジョエルに、はぁ、とわざと大きくため息をつくと、モーゼスは黒い笑みを刻んで一歩前に踏み出した。
「『貴方の先祖が犯した罪で生まれた僕ら』が幸せになることで、貴方は初めて過去を清算できたと言えるんじゃないかな?」
「・・・そうだね・・・」
「じゃぁそういうことで!」
ふふんと鼻歌交じりに軽い足取りで去っていった後を見つめながら、ジョエルはがっくりと肩を落とした。
その後、デヴィッドに泣きついているジョエルと、上機嫌で未来予想図を広げているシフといった奇妙な雰囲気の構図を見ることが出来たという。
* * * *
2006/11/29 (Wed)
ジョエルがかわいそうな眼にあってます。
ってかモゼが何だか黒い・・・;
新月鏡
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