〜dream in Okinawa〜 part11

 

 

花火も終えて、楽しい時間の終焉が近づく。

「さて、僕らはそろそろ家に帰らなきゃね」
「ん?あぁ、そういやもうそんな時間かぁ」

モーゼスのふとした言葉に、カイは腕時計に眼をやった。
かれこれもう10時になるようだ。

「楽しいと時間なんてあっという間に過ぎちゃうね」

名残惜しそうにそう呟くルルゥに、香里はひとつ頷き、同じく寂しそうな顔をした。
どことなくしんみりとした空気があたりを包み込む。

 

「あれ?・・・またやるんだろ?」

不意に雰囲気の読めない声が上がる。
言うまでもなくカルマンだ。
この男のどこまでもマイペースでいる態度に、モーゼスはおかしくなって顔がほころんでしまう。

「ふふっ・・・まったく、カルマンはいつもそうだね」
「あぁ?」
「わからなくていいよ、君の言うとおり、また皆でやるんだから」
「だね!カイ、またやるよね、パーティー!!」

微笑むモーゼスにルルゥは同じく大輪の花が咲くような笑顔を見せて、呆然としていたカイを振り仰いだ。
カイは明るい笑顔に思わず柔らかく笑い返して、ルルゥの頭を撫でる。

「おう!次は呼べるだけ呼んで、もっと大きなパーディーするからな!!」

にっと笑って答えてくれたカイに、ルルゥはきゃぁきゃぁと楽しげにはしゃいで香里と次のパーディーの話で盛り上がる。
気の早い娘二人に、皆の表情が自然とほころぶ。

 

「あ、そういえばお前ら帰るって言ってたけど、どこに帰るんだ?ホテルか?」

はっと思い出したようにカイはモーゼスに振り返ってそう訊いた。
ここから近いなら送って行ってやろうと思っていたからだ。

「いや、家だよ」
「・・・家?お、お前ら家に住んでんのか?」
「そう、5分も歩けばカイ、君の店に着く距離だ」
「煤H!」

予想だにしない事実に、カイは眼を丸くして硬直した。
しかし、モーゼスはそんなカイにさらに爆弾を投下する。

 

「僕ら、ここに住むから」

何だってぇぇぇ―――――――っ?!!!

にっこりと笑うモーゼスに、カイは思わず叫び、その声は遠く海の彼方へ消えていった。

 

 

 

* * * *

2006/11/29 (Wed)

実はまだ続いてた沖縄ドリーム(苦笑)
さて、今回ですが、
シフが永住する方向で話が進みます。


新月鏡